全人的医療について

全人的医療について

全人的医療という言葉が医療で初めて使用されたのは、1980年代、プライマリーケア学会で当時、九州大学心療内科教授であった池見酉次郎先生によると云われています。全人的医療は新しく提唱された医療モデル(パラダイム)のことです。

池見酉次郎(1915~1999)

モデル(パラダイム)というのは、うまくいくための考えかたの枠(フレーム)を言います。〝モデルがなければ科学は育たない〟と言われています。

心身医学の基本的医療モデルは身心(心身)一如です。心身一如という表現と、身心一如という表現がありますが、池見先生は身心一如という言葉を好んで使っていました。しかし、後年、先生は心身医学を全人的医療に転換しなくてはならないと考え、身心一如(池見モデル)からWHO名誉教授でニューヨーク大学のステーシー・デイ教授によって提唱された身体・心理・社会的 健康モデルへ転換しました。それは精神科医であるジョージ・エンゲル先生によって医療モデルへと応用されました。しかし、池見先生は、それでは不十分と考え、身体・心理・社会・生命倫理 医療モデルを提唱しました。

 

永田勝太郎(1948~)

永田勝太郎先生は身体・心理・社会・健康モデルを提唱したWHO名誉教授でニューヨーク大学のステーシー・デイ教授、日本の心身医学の創始者であり元九州大学心療内科教授で身体・心理・社会・生命倫理という初期の全人的医療モデルや西洋医学と東洋医学との癒合を提唱した池見酉次郎先生、実存療法(ロゴセラピー)を確立し、世界のベストセラーの「夜と霧」の著者であるウィーン大学のビクトール・フランクル博士たち多くの偉大な先人に師事し、その他の多くの医療研究者の教えを1つにまとめ上げ、池見先生との議論の末に、生命倫理を実存に変更し、人を人として見る医療モデル(新しいパラダイム)である身体(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)・実存(生きがい)の医療モデルを提唱しました。

ビクトール・フランクル(1905~1997)

 

私は17年前に永田勝太郎先生が提唱する進化した全人的医療を知り。培った整形外科医療のパラダイムから全人的医療のパラダイムシフト(パラダイムの大転換)に挑戦し、15年前に、医師1年生に戻る覚悟で、永田勝太郎先生からの直接のご指導に臨み、現在に至っています。

当院は、職種にかかわらず全スタッフが来院する患者さんを常に、1人の人間(身体・心理・社会・実存的存在)として見つめ、全人的(身体・心理・社会・実存的問題)な視点から診断、評価を行い、それぞれの職種を通して、痛みや苦しみに対する全人的治療(身体的・心理的・社会的・実存的資源に対するアプローチ)をチームとして全員で行います。

 

永田勝太郎:WHO(世界保健機関)心身医学・精神薬理学 教授:リヒテンシュタイン国際学術大学院大学 ビクトール・フランクル講座 名誉教授:公益財団法人 国際全人医療研究所 代表理事:日本実存療法学会理事長、日本疼痛心身医学会理事長、国際全人的医療学会理事長

永田勝太郎先生と(日本疼痛心身医学会にて)

 

全人的医療(身体・心理・社会・実存的問題)の評価

 

身体的問題

運動器系

器質的病態:骨折、脱臼、捻挫、打撲などの外傷、スポーツ障害、脊椎疾患、

変形性膝関節症などの変性疾患などの整形外科疾患

機能的病態:運動バランスの乱れ、筋力低下、日常生活動作の困難さ

全身系

器質的病態:体の痛みの原因となる、整形外科以外の疾患

機能性病態:体の痛みの要因となる機能性身体症候群

血行動態不良症候群、低血圧、低血糖、酸化、副腎機能低下、

低栄養など

 

心理的問題

感情、認知(考え方の癖)、行動(行動の癖)、欲求(エネルギーの使い方)の状況

 

社会的問題

家庭、職場、友人、地域等の状況

 

実存的問題

やりがい、生きる意味、生きる信念、世界観、人生観

 

全人的整形外科医療の検査法

 

全人的医療検査法

身体、心理、社会、実存的問題の検査(CHCW・SOC検査:特殊な検査)

整形外科的検査法

レントゲン検査、超音波検査、DEXA(骨塩定量)

各種血液検査

各疾患身体検査、神経学的検査

リハビリテーション的検査法

FIM等、身体機能評価検査

東洋医学的診察法

心身医学的検査法

ヘッドアップティルト測定(体位変換による血行動態検査)

一日血糖の測定(準備中)

酸化バランス防御系の測定(準備中)

酸化ストレス・抗酸化力

胸部レントゲン検査

ストレスホルモンの検査(準備中)

ACTH、DHEA-S、コルチゾール、カテコールアミン3分画

各種心理テスト(準備中)

 

全人的整形外科医療の治療法

治療に最も重要なのは、全人的整形外科医療の視点で、患者さんの資源(resource 健康回復のため、自分自身で持っているもの)を探すこと、スタッフ個々の治療的自我therapeutic self;Watkins提唱 患者さんを健康にできる人格)を発揮することです。

そして、患者さんの私たちが効果的な資源になれることが目標です。

全人的医療を医療モデル(パラダイム)として、各種検査を利用し、診断し、当院の4つの治療目標を実現するために、整形外科保存的治療、ペインクリニック的治療、漢方治療、鍼灸マッサージ治療、心身医学的治療、運動器リハビリテーション、筋力、機能回復トレーニング、アロマセラピー、エステ、フットケアなどの多彩な治療法(統合的医療)のそれぞれの利点を生かします。

 

全人的医療(身体・心理・社会・実存的資源:当院の治療も含めて)の評価

身体的資源

運動器系

器質的病態:整形外科的保存的治療を施す医師

手術療法、入院治療ができる他院・専門病院の存在

機能的病態:機能を回復させることのできる理学療法士の存在

運動器リハビリテーション

残された身体的機能

全身系

器質的病態:専門的治療を施す、整形外科以外の他院・専門医の存在

機能性病態:血行動態不良症候群、低血圧、低血糖、酸化、副腎機能低下、

低栄養に対する対処

機能を回復させる、鍼灸按摩マッサージ師、アロマセラピスト

エステティシャン、漢方治療を行う医師の存在

心理的資源

認知(考え方の癖)、行動(行動の癖)、欲求(エネルギーの使い方)の

変容を促す

変容を促す、当院スタッフの存在

社会的資源

本人を支えてくれる家庭、職場、友人、地域等

治療的自我を発揮し、社会的資源として患者さんを支えようとする

当院スタッフの存在

実存的資源

やりがい、生きる意味、生きる信念を生かす

実存的変容を促す当院スタッフの存在

 

全スタッフがそれぞれの職種を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

医師の場合はマイケル・バリントの云う医師という薬を発揮します。

 

医師

全人的医療の診断の後、適切な治療の組み合わせを考え、それぞれのスタッフに依頼し、治療目標を実現します。全人的医療の診断・治療を通して、自身が持つ医師という薬を発揮します。

整形外科的治療:整形外科全分野の保存的治療を行います

ペインクリニック的治療:神経ブロック、エコー下の各種注射を行います

漢方治療:張明澄流・古典中医学による痛みの漢方治療を保険診療の範囲で行っています

心身医学的治療:機能性身体症状を改善する、薬剤の投与、生活スタイルの改善指導、

適切なサプリメント投与、食事療法、各種心理療法(実存療法、森田療法など)

 

鍼灸師:NLP認定者1名

鍼灸、マッサージ治療を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

看護師:国際アロマセラピスト1名、NLP認定者1名

整形外科看護業務を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

理学療法士:NLP認定者1名

運動器リハビリテーションを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

臨床放射線技師

レントゲン検査を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

診療支援・おもてなしスタッフ:NLP認定者1名

受付、診療アシスト、リハビリアシスト、筋力、機能回復トレーニング指導、

通所リハビリテーションを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します

 

アロマセラピスト:看護師、NLP認定者

女性に対して、アロマセラピー、エステを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

エスティシャン:エンビロン上級ディプロマ資格者

女性に対して、リンパマッサージ(術後、疾患を除く)とエンビロンスキンケアを通して、

自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

フスフレーガー:ドイツ・フスフレーガー認定者

フットケアを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

読書療法(ブリーフセラピー)

院内には、院長セレクションの身体、心理、社会、実存的問題を乗り越えるための書籍

が多数用意されています。

診察時に、適切な書籍をお勧めし、貸出すこともあります。