運動器リハビリテーション
リハビリテーションとは
リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持ちます。
私たち理学療法士は、徒手療法や物理療法、運動療法などを行い、日常生活や仕事、スポーツ、趣味活動等でお困りの動作の改善を図ります。そのうえで、楽しみややりがいを持ち、皆様が生き生きと日々を過ごしていけるよう、お手伝いをしていきます。
リハビリテーション医学モデル;国際生活機能分類(ICF)
医学モデルとは、医学における考え方、捉え方を指します。リハビリテーションでは、国際生活機能分類(ICF)というモデルを用いられます。「人が生きること」を包括的に捉え、その方が生きるうえで必要な機能や能力を再獲得していきます。
WHO: ICF: International Classification of Functioning, Disability and Health, 2001. (厚生労働省(訳): 国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-. 中央法規, 東京, 2002)
理学療法の専門分野への分化
運動器理学療法、基礎理学療法、呼吸理学療法、支援工学理学療法、小児理学療法、神経理学療法、循環器理学療法、スポーツ理学療法、地域理学療法、糖尿病理学療法、予防理学療法、理学療法教育、産業理学療法、精神・心理領域理学療法、徒手理学療法、物理療法、ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法、栄養・嚥下理学療法、学校保健・特別支援教育理学療法、がん理学療法、動物に対する理学療法
野村卓生:一次予防領域における健康管理への理学療法士の貢献. 日本衛生学雑誌71(2): 107-110, 2016
運動器・理学療法の医学モデル
運動器とは、運動を構成する器官(骨、関節、筋肉など)を指します。一般整形外科では、おもに運動器・理学療法をおこないます。この医学モデルには、1,病理・運動学的モデル 2,運動・病理学的モデルがあります。これらのモデルに基づき、理学療法士は、運動器機能の障害に対する評価および治療をおこないます。
廣濵 賢太, 木藤 伸宏: 運動器理学療法の基本理論. 理学療法の臨床と研究 27 , 2018
1,病理・運動学的モデル
病理・運動学的モデルでは、運動を構築する要素の異常あるいは障害が、運動機能の低下を引き起こすと考えられています。
Shirley A Sahrmann: Diagnosis and Treatment of Movement Impairment Syndromes, 1st Edition(竹井仁・鈴木勝(監訳): 運動機能障害症候群のマネジメント 理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導. 第1版, 医歯薬出版, 東京, pp9-15, 2005)
2,運動・病理学的モデル
運動・学病理的モデルでは、日常生活内で繰り返される動作あるいは姿勢にたいして、運動を構成する要素や動きが適応し、その結果として運動機能の低下を引き起こすと考えられています。
Sahrmann S: Movement System Impairment Syndromes of the Extremities, Cervical and Thoracic Spines(竹井仁・鈴木勝(監訳), 他(訳): 続 運動機能障害症候群のマネジメント 頸椎・胸椎・肘・手・膝・足. 第1版, 医歯薬出版, 東京, pp1-39, 2013)
徒手理学療法 (MPT)・セラピストの手
運動器・理学療法の治療では、おもに徒手理学療法(MTP)がおこなわれます。これは、いわゆる「セラピストの手」によっておこなわれ、運動療法の一部に属しています。MTPには、様々な理論体系あるいは手技が存在します。
板場英行:連載第16回 徒手理学療法.理学療法学43(3):263-272,2016
徒手理学療法 (MPT)の理論とテクニック
- 整形外科徒手療法 Kaltenborn FM, Evjenth O
- メイトランドコンセプト Maitland GD
- パリスアプローチ Paris SV
- マリガンコンセプト Mulligan B
- マッケンジー法 McKenzie RA
- ドイツ徒手医学
- 運動機能障害症候群 Sahrmann S
- 運動連鎖 Steindler A
- 固有受容性神経筋促通法 (PNF) Kabat H, Knott M, Voss D
- 関節運動学的アプローチ (AKA)-博田法 博多節夫
- オステオパシー Still AT
- カイロプラクティック Palmer DD
- 中国按摩推拿医学
当院では、これらの理論体系のなかで、ドイツ徒手医学のマニュアルセラピーおよび固有受容性神経筋促通方(PNF)のインストラクターをお招きし、日々研鑽を重ねています。
当院の特徴・全人的医療(Comprehensive Medicine)
全人的医療とは、「患者をいつ、いかなる場合においても“病をもった人間(whole person)”と捉え、身体的、心理的、社会的、実存的な視点から、包括的(全人的)に理解し、その過程のなかから、患者固有の問題の解決を図り、患者個々の有する資源を活用し、人間としての秩序を整えようとする」と定義されています。
永田勝太郎 編:心身症の診断と治療―心療内科新ガイドラインの読み方.診断と治療社,東京,pp.19-24,2007