わけのわからない身体の症状(MUS)

あちこちの痛み、長く続く痛み、1日中とれない疲労、寝てもとれない疲労、からだじゅうのわけの分からない症状がある。

でも、いくら検査しても明らかな異常が見つからない。診断がつかない。

整形外科的な症状(肩こり、腰痛、あちこちの痛み)もあるが、他にもいろいろ症状がある。

このような症状は、medically unexplained symptons: MUS医学的に説明できない症状、日本では不定愁訴)と言われてきました。

最近では、新たな定義と用語が検討され、それぞれ定義の内容は少しずつ異なりますが、機能性身体症候群Fanctional somatic syndrome: FSS)、

身体表現性障害Somatoform disorders、最近は身体症状症)、身体的苦悩症候群Bodily distress syndrome: BDS)などが提唱されました。

そして整形外科的症状に見えて、実はこれらの症状の一部のことがあります。

身体を全体でみる診療分野である心身医療(特に、整形外科を基本分野としている当院)においては、

これらの症状を生体の恒常性(Homeostasis:ホメオスタシス)の乱れと捉えています。

恒常性とは、身体の中と外からのストレスから、バランスを調え健康を守る身体のしくみです。

 

 

 

心理の問題(認知の歪み、パーソナリティの問題など)を専門的(精神科、臨床心理)に対処すること(カウンセリング等)は行いませんが、

身体のせい(身体因性)による心理状態を、こころのせい(心因性)にする決めつけをしないように心がけています。

 

 

 

 

 

恒常性の乱れについてはまだまだ解明されていない分野ですが、当院では、永田勝太郎先生の指導のもと、現在分かっているうちの、

 

1,心臓と自律神経の関係の乱れ(血行動態不良)、

2,血液の中のブドウ糖の濃度調節の異常(ブドウ糖恒常性の異常)、

3,活性酸素による血管、遺伝子、脳神経などの細胞の攻撃(酸化ストレス防御系の乱れ)、

4,体内で必要な栄養(タンパク質、ビタミン類、鉄、微量元素など)の不足

 

の4つを、さまざまな症状が発現する重要な要因として取り上げ、これらの4つを改善することにより、

症状の緩和を図ろうと考えています。

 

 

また、脆弱性要因(生まれつき、もしくはこれらの症状が発症しやすい体質)として、

 

5,低血圧体質(起立性低血圧、体位性頻拍症、小心臓症など、東洋医学的に腎虚)

6、機能性消化管障害(機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群など、東洋医学的に脾虚)

7,腸内細菌叢の乱れ

 

を十分に考慮にいれ、

 

 

さらに、自分を消耗させてしまう、

 

8,自分をこわす生活習慣

9,投げやりな生き方

 

の改善を目標にしています。

恒常性の回復を目指さず、薬物の悪影響(特に血行動態)を考慮をせず、

無造作に抗精神病薬(サインバルタなど)、抗てんかん薬(リリカ、タリージェなど)、オピオイド(トラムセット、トラマールなど)を使用することはありません

また、身体因性による心理症状に対し、心理の問題(心因性)、本人の認知の歪みによるものと決めつけません。

この治療の方法がうまくいく大切な条件は、患者さんと医師、医療スタッフとの良好な関係です。

互いが、ルールとマナーを守ることから治療が始まります。

このことで、長期間の治療を根気強く行うことができます。

どのような痛みの症状でも、人間である以上、多少の差はありますが、機能性身体症状(functional somatic symptoms)もしくは機能性身体症候群(FSS)が必ず混在していると考えます。