身体的苦悩(BD)と慢性機能障害性身体的苦悩(CDBD)

 

以前は原因がはっきりしない、患者さんも医師も理解ができない症状をMUS(medically unexplained symptom)と称していました。

 

近年、身体的苦悩(bodily distress:BD、さらに重症のBDである慢性機能障害性身体的苦悩(chronic disabling bodily distress:CDBD)と定義されることがあります。

 

小径線維ニューロパチー(SFN)関連のすべての症候や疾患(肩こり、腰痛、いろいろな痛み、線維筋痛症(FM)、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)など)は重症度によってBDからCDBDの段階に含まれます

 

以下の図が、BDからCDBDに至る経緯です。

 

 

 

 

脆弱性要因:弱っている体調、生まれつきのからだの弱さなど(低血圧、胃腸の虚弱など)

 

トリガー要因:急性のウィルス感染、外傷、交通事故など

現在の生活上のストレッサー(低血糖、栄養不良、心理社会的ストレスなど)

 

維持・悪化要因:BDを悪化させる不適切な治療、治療の回避、デコンディショニング(活動不足)

認知的・感情的(不安、うつ病など)、症状に対するケアを受けた経験、ケアの獲得が目的

 

 

身体的苦悩(BD):症状を感じる最初の状態、初期の特発性SFN(initially idiopathic SFN:iiSFN)と理解することができます。

 

慢性機能障害性身体的苦悩(CDBD):iiSFNが、維持・悪化要因により、慢性、難治性となった状態と理解することができます。

難治性の痛み、末梢性感作、中枢性感作、難治性の多臓器障害、認知の歪み等の精神状態を合併した状態と考えられます。

疾患では、複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome)などが相当すると考えられます。

 

 

 

初期・特発性・小径線維ニューロパチー(initially idiopathic SFN:iiSFN)身体的苦悩(bodily distress:BD)として脳に知覚されます。

 

この時期が、治療の絶好のチャンスです。

 

しかし、時間が立つにつれ、あるいは不適切な対処を続けるうちに、末梢性感作(末梢神経の痛みが元に戻らない状態)、中枢性感作(脊髄・脳が原因の痛みが元に戻らない状態)、難治性多臓器障害(良くならない、程度の重い、内臓などの障害)、認知の歪み(考え方が不健康な状態)が加わり、慢性機能障害性身体的苦悩(CDBD)にいたり、治療がどんどん困難な状態となります。

 

CDBDに至ると、大学病院、総合病院で、たくさんの専門家が集まった(集学的治療、学際的治療)医療施設でしか治療を行うことができません。

それでも症状が緩和することは困難です。当院は、地方整形外科開業医であり、CDBDの治療をするには力不足です。

 

とにかく、早くiiSFNを察知し、原因であるホメオスタシスの歪みを改善するために、効果的な食生活、生活スタイルの変更、効果的なサプリメントの補助などを行うことが必要です。

 

 

とにかく早く! とにかく早く! とにかく原因治療を! とにかく原因治療を!