リハビリテーション

ごあいさつ

当院では、理学療法士をはじめ、全スタッフが、患者さんを、整形外科の疾患や運動器系の機能障害として見るのではなく、いつ、いかなる場合でも、機能障害を持った人間として見る全人的整形外科医療の視点と共通認識を持ち、全人的整形外科医療を熟知した医師のリーダーシップの下、運動器リハビリテーションを通して、チーム医療を行います。

 

そして、理学療法士として以上に、理学療法を専門分野とする全人的医療者として、皆さんと向かい合い、常に謙虚に、理学療法の知識や技術のみならず、全人的医療に関与する様々な分野の研鑽を積み、目の前の皆さん一人一人に、手を差し伸べ、笑顔に変える医療を実践したいと存じます。

今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。

当院のリハビリテーションの特徴

 

全人的整形外科医療は、

身体・心理・社会・実存的医療モデルに基づき、

運動器系の機能障害として視るのではなく、

機能障害を持った人間として視る医療です。

 

そして、常に、全人的整形外科医療の視点を外すことなく、

すべての整形外科疾患に対応できる理学療法を目指し、

培った知識と技術、態度(治療的自我と社会性)により、

 

当院の4つの治療目標である、

 

1、全人的痛みを軽くする

2、夢、希望、楽しみ、やりがいを応援する

3、未病を治し、命を守る

4、相対的健康を生成する

 

を実現します。

 

 

運動器系の機能障害に対する考え方として、運動連鎖の考え方があります。

これは、肩が痛く、動きに制限がある人でも、

股関節、体幹からの影響を大きく受けており、

それらを改善するリハビリテーションを行うことにより、

運動連鎖の乱れが改善し、結果、肩の痛みや動きの制限が改善するというものです。

私たち、理学療法士はこの考えを中心に、様々な徒手技術や適切な運動、物理療法を駆使します。

また、特殊な疾患の理解とリハビリテーション知識を要する、

筋痛性脳症(筋痛性脳脊髄炎)/慢性疲労症候群(ME/CFS)

線維筋痛症(FMS)慢性広汎痛(CWP)交通事故後の機能性身体症状などの

機能性身体症候群(FSS)のリハビリテーションを行います。

 

さらに、整形外科領域以外の器質的疾患を持った整形外科疾患の方々、

時に、致死的病態を抱えた整形外科疾患の方々にも、

相対的健康の実現を目指し、理学療法士の治療的自我を発揮したリハビリテーションを

行います。

 

 

リハビリテーションとは

リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持ちます。

私たち理学療法士は、徒手療法や物理療法、運動療法などを行い、日常生活や仕事、スポーツ、趣味活動等でお困りの動作の改善を図ります。そのうえで、楽しみややりがいを持ち、皆様が生き生きと日々を過ごしていけるよう、お手伝いをしていきます。

運動器リハビリテーション

「運動器」とは骨・関節・筋肉・神経などの身体を支えたり動かしたりする組織・器官の総称です。

「運動器」に関する主な疾患としては、骨折、変形性関節症、腰痛や頚部痛、肩痛、スポーツ障害などがあります。それらは仕事や日常生活、スポーツ動作を困難にし、楽しみややりがいを脅かしてしまいます。

「運動器リハビリテーション」とは運動器疾患を持つ人々に対して運動療法(ストレッチや筋力強化など)や物理療法、装具療法などを用いて、身体機能や生活、就労上の問題等の改善を図っていくものです。 医師の指示のもと、リハビリテーションの専門職である理学療法士が、患者様の評価を行い、個々に適した治療プランを立てて、運動プログラム(ストレッチ、筋力トレーニングなど)を提供いたします。

 

肩関節のリハビリテーション

肩関節の疾患は肩関節周囲炎(五十肩)、腱板損傷、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎、肩関節脱臼、上腕骨大結節骨折、投球障害肩などがあります。

肩関節の痛みや可動域制限、筋力低下などの機能低下により、更衣動作、整容動作、洗濯物を干す、掃除をする、高い所の物を取る、お仕事、スポーツなどの動作が困難となってしまいます。そんな日常生活やお仕事、スポーツにおける制限を医師の指示のもと、理学療法士が局所および全身の評価を行い、一人一人に合わせた治療プログラムを考え治療していきます。

肩関節の痛みの代表的なものに肩関節周囲炎(五十肩)というものがあります。

肩関節周囲炎とは、50歳代を中心に多発し、肩関節に痛みと運動制限をもたらす疾患の総称です。肩には筋肉や靱帯、関節の動きを良くする袋(滑液包)や関節を包み込む袋(関節包)などがあり、加齢や日常生活での負担によって炎症を起こしてしまった状態を「肩関節周囲炎」と言います。

主な症状は、肩周囲の痛みと運動制限です。特に洗髪、結髪、更衣動作、洗濯物を干すなどの日常生活動作が障害されます。夜間痛も特徴です。

病期は、炎症期・拘縮期・回復期に分類され、症状もそれぞれの時期で異なります

・炎症期:痛みによる制限

・拘縮期:硬さによる制限

・回復期:制限の回復

様々な調査報告では、『1~2年で、治癒する』と言われています。個人差はありますがリハビリで治癒期間は短縮され、期間中の痛みも軽減されます。

○リハビリテーション

・理学療法士による評価

痛みや関節可動域、筋力、姿勢、動作、全身の運動連鎖を評価し、痛みや運動制限の問題点を探します。

 

・肩関節リハビリテーションのポイント

肩関節を動かすときに大切なのが、肩甲骨・脊骨・骨盤の動きです。肩甲骨・背骨・骨盤は、腕と一緒に動き、腕の動きの土 台となるためとても重要になります。

痛みが強い炎症期では、腕が動かせないため、肩甲骨・背骨・骨盤の可動性を確保し、腕が動かしやすい状況を作っていきます。

硬さが強くなる拘縮期では、炎症期に引き続き、肩甲骨・背骨・骨盤の可動性の確保をしつつ、肩関節の積極的な運動を行い、可動域の拡大を図ります。

回復期では、より積極的に肩関節の運動を行い、可動域の拡大を図ります。日常生活やお仕事、スポーツの動作の獲得に向けてトレーニングを行っていきます。

腰痛のリハビリテーション

腰痛は非常にポピュラーな身体症状であり、日本の統計で男性では一番多い身体の症状、女性では肩こりに続く2 番目に多い症状と言われています。また、一生のうちには60-80%の人が腰痛を経験するとされています。

腰痛のうち原因がはっきりと特定できるものは少なく、病態不明の「非特異的腰痛」のほうが多く、腰痛の85%が非特異的腰痛であると言われています。残りの15%にあたる「特異的腰痛」は、椎間板の変性、骨折、ガン、感染、内臓疾患等の原因の特定できる腰痛とされています。

腰痛によって生活や仕事などが制限されてしまっている方々、制限してしまっている方々に、一人一人に合った治療プログラムを立案させていただき、日々の生活がより良いものになるようお手伝いさせて頂きます。

背骨は上から順に、7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨(びこつ)が積み重なって構成されています。この中で、いわゆる「腰」といわれるのは、腰椎の部分です。

腰痛の多くは、腰椎を無理に反らしたり、ひねったりすることで発生します。腰椎は大きな動きをしない関節です。無理に動かすと負担が蓄積し、痛みが生じてしまいます。捻るなどの動作のほとんどは、可動域の広い胸椎で行われます。また、胸椎と同じく、骨盤・股関節も体を捻るなどの動作に大きく関与します。胸椎や骨盤・股関節が動きにくくなってしまうと、本来あまり動かないはずの腰椎を無理やり動かすしかなくなります。そういう負担が積み重なると、腰を痛めてしまいます。

○リハビリテーション

・理学療法士による評価

痛みや可動域(胸椎・腰椎・股関節)、筋力(下肢・体幹)、姿勢、動作、下肢-体幹運動連鎖の乱れをチェックし、腰痛に関与する問題点を探します。

・腰痛のリハビリテーションのポイント

股関節・骨盤・胸椎の可動性の低下が腰椎の過剰負荷になっている可能性があるため、股関節・骨盤・胸椎の可動域の改善をし、腰椎へのストレス軽減を図る。

安静は有益ではないとエビデンスで言われており、痛みに応じて普段と同じように生活したほうが良いとされています。また、運動は慢性腰痛に有効と推奨され、予防にもなると言われています。当院リハビリテーションでは日常生活での動作指導や段階的な運動プログラムを立案し、無理のない腰痛の改善・予防を行っています。

膝関節のリハビリテーショ

変形性膝関節症は、加齢、肥満、遺伝的因子、力学的負荷など多くの原因が関与して発症する多因子疾患です。なかでも力学的負荷およびその蓄積は、関節軟骨の変性と破壊を引き起こしてしまいます。

変形性膝関節症の自覚症状がある患者数は1000万人、自覚症状がない(レントゲン画像上の変化のみ)人数も合わせると3000万人もいるといわれています。

膝関節の痛みは、立ち上がりや歩行、階段昇降をはじめ、日常生活の動作が困難になってしまいます。また、仕事やスポーツ、趣味活動の制限にもなってしまいます。

膝関節は、大腿骨、膝蓋骨、脛骨、腓骨からなる関節です。変形性膝関節症で日本人に多いのは内反変形(O脚)と言われるものです。内反変形の特徴は膝が開いてしまい、体重(荷重)がかかる軸が膝の内側を通るようになります。この状態で上から体重が加われば、関節の内側に体重が集中することになります。膝関節の内側に荷重がかかり、炎症が起こってしまうことで痛みが引き起こされてしまいます。

○リハビリテーション

・理学療法士による評価

痛み、可動域、筋力、姿勢、動作、運動連鎖の乱れなどに関連すると思われる問題点を探ります。

・膝関節のリハビリテーションのポイント

膝関節内側部の痛みは、内反変形(O脚)はもとより、股関節や足首の隣接した関節や体幹の動きの影響を受けています。

運動連鎖を考え、股関節や足首、体幹の可動性の向上し、膝関節や体幹の動揺を改善するために下肢・体幹の筋力強化を行い、膝関節にかかるストレスの軽減を図ります。

交通事故によるむちうち損傷のリハビリテーション

交通事故によるむちうち損傷は物理的外力によって引き起こされる器質的損傷である。それと同時に、交通事故のエピソードは中枢神経や身体の恒常性(ホメオスタシス)に影響を及ぼし、機能的病態による症状を発現させる強烈な外因的ストレッサ―の一面を持ちます。このように、交通時事故によるむちうち損傷は器質的病態と機能的病態が様々な割合に入り混じった個別性の大きい病態であり、しばしば多彩な症状を呈します。

交通事故そのものによる心的外傷、加害者の不誠実な態度、冷淡な保険担当者の対応、医療不信等の外因性ストレッサ―が加わると、自我の未熟な被害者においては多大な怒りとなり、それが内向し、心身に対しての極度のストレスがホメオスタシスの異常をきたし、多彩な症状をきたします。

○リハビリテーション

医師の診察を経て、器質的に異常がなく、慢性疼痛および多彩な症状を呈している症例に対して述べる。

・バリント式医療面接

①事故の状況を聞き、状況ごとの心理状態を引き出し、傾聴、受容、共感、支持する。

②事故後の社会環境(加害者、警察、保険会社、医療者など)に対する、患者様の立場からしかわからない心理状態を事故後から現在まで経時的に引き出し、傾聴、受容、共感、支持する。

③治療と結びつかない、不安をあおるような病態説明は禁忌である。器質的疾患の除外と保証のために、念入りな理学療法評価を行う。

・局所の損傷ではなく、全身の不調の根拠となる理学療法評価を行い、患者様に気づきを促す。

・痛みや可動域制限に対し、温熱療法、電気療法、徒手療法、運動療法、リラクセーションを行い、全身の不調に対してリハビリテーションを行う。

全人的医療を理解し、実践できるフタッフがいることで治癒率がアップします。

医師のリーダーシップのもと、医事課スタッフ、診療スタッフ、看護師、理学療法士、鍼灸師などがチーム医療を実践することで、交通事故でお困りの皆様の支えになれるよう努めてまいります。

筋痛性脳症(筋痛性脳脊髄炎)/慢性疲労症候群(ME/CFS)、線維筋痛症(FMS)に対するリハビリテーション

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、後天的器質的疾患で、「労作後の不調」、「労作後の全身性労作不全」を特徴とする多系統慢性疾患です。WHO国際疾病分類では神経系疾患とされています。

ME/CFSは、慢性に続く倦怠感と疲労、慢性疼痛、睡眠障害がみられ、さらに、認知症状、自律神経症状、神経内分泌症状、免疫症状がみられることもあります。

身体的または知的労作は活動直後や遅延性に、衰弱させるような倦怠感および疲労感、全身痛、認知機能の低下や他の症状の悪化をしばしば引き起こしてしまいます。

下記の表は、患者に現れうる運動に対する機能障害的反応です。

○リハビリテーション

身体、心理、社会、実存的問題を評価します。

身体機能面の評価として、疼痛、関節可動域、筋力、感覚、バランス、姿勢、動作、日常生活活動の各評価を行います。

問題点だけでなく、資源となるものも評価します。

問題点の改善のみならず、資源となるものを最大限発揮できるよう、身体機能向上のためのリハビリテーションプログラムを患者様とともに考えていきます。

上記の表にあるように、ME/CFS患者様は、運動により心拍数が減少し、酸素摂取量や血流量、体温が低下してしまいます。リハビリテーションを行うに当たり、リハビリ前、リハビリ中、リハビリ後に血圧、脈拍、体温測定をし、最適な運動と運動強度を患者様と一緒に立案していきます。

症状を悪化させることなく、患者様のペースで、少しずつできる範囲を増やしていけるよう支え寄り添っていきたいと思います。

全人的医療における理学療法士の役割

全人的整形外科医療は、身体・心理・社会・実存的医療モデルに基づき、運動器系の機能障害として視るのではなく、機能障害を持った人間として視る医療です。

その中でも、特に身体機能面の治療を行いながら、常に全人的整形外科医療の視点を外すことなく、培った知識と技術、態度(治療的自我と社会性)により、

 

当院の4つの治療目標である、

 

1、全人的痛みを軽くする

2、夢、希望、楽しみ、やりがいを応援する

3、未病を治し、命を守る

4、相対的健康を生成する

 

を実現します。

リハビリテーションの流れ

1,初診の流れ

 

① 診察後、リハビリ室待合でお待ちください。(リハビリのない方は診察待合へ)

 

② リハビリスタッフがお名前をお呼びします。

 

③ 理学療法士が評価、リハビリプログラムを立案します。

 

④ リハビリプログラム終了後、理学療法士が書類(総合実施計画書、実施計画書、リハビリプログラム)を

 

作成します。

 

⑤ 次回以降の通院についての説明をします。

 

2,2回目以降の流れ

 

① 受付で診察券、書類(総合実施計画書、実施計画書、リハビリプログラム)を提出します。

 

(診察券、書類を忘れた方は受付にお伝えください。忘れても大丈夫です。)

 

② リハビリ前にスタッフが問診をします。リハビリ待合室でお待ちください。

 

(薬や湿布等の処方をご希望される方は、問診時にスタッフにご確認ください)

 

③ 問診後、リハビリスタッフがお名前をお呼びし、リハビリプログラムを行います。

 

④ リハビリプログラム終了後、受付横のプログラム置きにファイルを置いて、診察待合でお待ちください。

 

⑤ お会計をします。