当院の治療方針

当院の治療方針は、

 

世界中の偉大な先人たちの教えを基に、永田勝太郎先生が確立した、

全人的医療モデル『身体(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)・実存的(やりがい)医療モデル』

整形外科医療とリハビリテーションの医療モデルを組み込んで解釈したものです。

 

全人的整形外科医療は、患者さんに対して、いつ、いかなる場合でも、病や障害を持った人として見るために、いつ、いかなる場合でも、2つの視点を持ちます。

 

一つ目の視点は、身体全体的のしくみを、どのような病気や障害があったとしても、ホメオスタシス(恒常性)の状態を中心に据えます。

 

そして、ホメオスタシスが乱れが、

病気の前の状態(機能的病態)⇒ 病気(器質的病態)⇒ 致死的病態(死ぬ間際の状態)⇒ 、につながると認識します。

 

2つ目の視点は、ホメオスタシスを乱す要因として、一人一人の個別的な、身体的問題、心理的問題、社会的問題、実存的問題があると考えます。

整形外科的疾患や障害は、身体的問題の1つの要因としてのみ、位置づけます。

 

ホメオスタシスの乱れを回復させる要因としては、一人一人の個別的な、身体的資源、心理的資源、社会的資源、実存的資源があると考えます。

 

そして、その資源を活用(治療)することにより、ホメオスタシスの乱れを回復させより健康(絶対的、相対的)な方向を目指して行くことが、全人的整形外科医療を目的です。

 

 

そして、全人的整形外科医療を実現できる場は、地域における整形外科開業医がふさわしいと考えます。

 

ひどい疲れ、あちこちの痛み、つらい不眠(ホメオスタシスの乱れ)のメカニズムの概略

上の図は治療に直結する、ホメオスタシスの乱れ(機能性身体症状、機能性身体症候群)の病態の概略です。

遺伝的素因と本人特有の〝生きざま〟による、生活習慣、特に食生活の偏り身体・心理・社会・実存的問題によるストレスと、本人のストレス耐性(SOC、レジリエンス)の低さによって、ホメオスタシスの乱れ(機能性身体症状、機能性身体症候群)が起きます。

そして、血行動態(心臓血管系・自律神経)の機能低下糖化酸化副腎疲労が起こり、器質的疾患へ移行していきます。

整形外科疾患も、このホメオスタシスの乱れを引き起こす要因であり、整形外科疾患に対する治療を行いながら、ホメオスタシスの乱れ(機能性身体症状、機能性身体症候群の潜在、続発、合併)に注意を払います。

4つの治療目標

当院は整形外科分野の症状を訴える患者さんに対して、全人的医療の視点を導入することにより

 

 1,全人的な痛みを軽くする

 2,夢、希望、楽しみ、やりがいを応援する

 3,未病を治し、命を守る

 4,相対的健康を生成する

 

という4つを治療目標にしています。

 

整形外科を訪れる患者さんの症状を、専門病院へ紹介すべき身体の器質的疾患(手術や入院治療を要する)や、身体の症状に潜んでいる精神疾患(うつ病、神経症など)かどうかを診断し、専門医に紹介した後に、整形外科領域の症状を全人的医療の視点で見ることにより、4つの治療目標を実現します。

 

 

1,全人的な痛みを軽くする

整形外科領域の痛み(部分のからだ)などの症状は、全人間的(全身・こころ・環境・やりがい)な苦しみの一部の症状や疾患と位置づけ、診断し、いろいろな方法で治療を施すと同時に、向かいあった一人の人として相談にのります。

 

外傷や障害を受けた方は、障害を受けた身体だけではなく、強いストレスにより、全体の身体の状態(筋骨格系、全身系の機能的状態)にも悪い影響を与えます。また、こころ(心理的)も、落ち込んだり、悲しんだり、傷ついたり、焦ったりします。また、受けた障害が、仕事や学校生活、家庭生活、スポーツなどの環境(社会的)に中で困った影響を与えることもあります。そして、受けた障害のせいで、自身の楽しみややりがい(生の欲求、実存)を脅かされることがあります。

 

私たちは、外傷や障害を見るのではなく、外傷や障害を受けた人として見る、全人的医療の視点を持ち、患者さん固有の問題を解決していきたいと思います。

 

 

整形外科疾患と間違えられ、見逃しが多く、治療法が難しい、筋痛性脳症(筋痛性脳脊髄炎)/慢性疲労症候群(ME/CFS)線維筋痛症(FMS)慢性広範痛(CWP)などの機能性身体症候群(FSS)を診断し、永田勝太郎先生が確立した、あらゆる方法(統合的治療法)を全人的医療の大きな流れ(ホメオスタシスの改善、身体・心理・社会・実存的医療モデル、あらゆる資源の有効活用)に乗せたチーム医療を行います。

 

抗うつ薬(サインバルタなど)抗てんかん薬(リリカなど)ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬などの抗精神病薬や、麻薬系の鎮痛剤(トラムセット、トラマールなど)は原因治療では無く、強引に中枢神経でコントロールする対処療法であり、薬物による依存性や、痛み以外の心身状態の悪化、血行動態低下、酸化、糖化の促進などの副作用や、時に、離脱症状が過酷なため、極力使用しません

 

治療は、根本的治療である、ホメオスタシスの回復(特に血行動態の回復、糖化の改善、酸化の改善)と相対的健康が目標であり、痛みは、治すもの(取り除く)ではなく、癒し続けるもの(痛みを軽く感じる体調を目指し続ける)であり、従え続けるもの(痛みがありながらでも、自分の人生を生きる方向を目指し続ける)であるため、紆余曲折があろうとも、根気よく続ける必要があります。

 

ご自分の症状の改善を、一方的に医療者に依存せず、自立した心で、医療者と良き関係を保ち、対等な協力関係で成し遂げようとする意志が必要です。


2,夢、希望、楽しみ、やりがいを応援する

スポーツ選手、スポーツ愛好者、いつまでも続けたい仕事を持つ方々、いろいろな趣味(畑仕事、釣り、山登り、旅行など)を持つ方々を応援するために診断、治療して、リハビリテーションで機能回復させ、トレーニング等で強化し、時にスポーツチームに帯同します。

 

スポーツ選手やスポーツ愛好者は、小学生であれ、中学生であれ、高校生であれ、大学生であれ、社会人であれ、子供を持つ親であれ、それぞれの人たち固有の、立ち向かう目標、競技に対する思い、仲間との交流、将来のなりたい自分、などたくさんの希望(生の欲求、実存)があります。しかし、いつも順風満帆ではありません。骨折や靱帯損傷などの外傷疲労骨折、筋や腱の炎症などの障害などで、それらを中断しなければならない時があります。

 

私たちは、競技への思いを断ち切るのではなく、寄り添い、応援し、願いを叶えるため、ぎりぎりの判断を行いつつ、時に、冒険し、それでも、決して将来の生活のハンディにならないよう配慮していこうと決意しています。当院では保存的治療を行いますが、手術は希望を与える治療として位置づけ、保存的治療の限界に達しても、優秀な専門医の先生に手術をお願いしています。術後は、主に、当院でリハビリテーションを行い、希望(生の欲求、実存)を支援します。

 

畑仕事が大好きで、大自然に触れ、採れた物を食べてもらうことを生きがいにしている方々がいます。釣りに行き、海や川の自然とふれあい、釣れた魚で仲間と語り合い、一時の至高の時を過ごす方々かいます。山に登り、澄み切った空気の中で、自然に生かされている自身を感じながら、楽しんでいる方々がいます。旅行に行き、それぞれの土地の自然や人に触れることを楽しみにしている方々がいます。そのほか、それぞれの方々の固有の楽しみやりがい(生の欲求、実存)があります。

 

変形性膝関節症変形性股関節症、腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症による変形や骨折などはこの方々の、固有の楽しみやりがい(生きる欲求、実存)を脅かしてしまいます。私たちはその思いを断ち切るのではなく、寄り添い、応援し、願いを叶えるために適切な治療を選択し、実行していきます。現代は、医療が発達しています。決して絶望することはありません。当院では保存的治療を徹底して行い、手術は希望を与える治療として位置づけ、保存的治療の限界に達しても、優秀な専門医の先生に手術をお願いし、術後は、主に、当院でリハビリテーションを行い、楽しみやりがい(生の欲求、実存)実現を目指します。


3,未病を治し、命を守る

肩こり、腰痛、五十肩などを、疲労、ストレス病の機能性病態(未病、病気が発症する前の状態)と診断し、体を壊し、死に向かう方向を、いろいろな方法で、治療し、一緒に協力して寿命が長らえる生活習慣や考えへ修正していきます。

 

肩こり、腰痛、五十肩などの症状を訴える方々を、全人的医療の視点で見ると、からだ(身体的)の問題では、疲労困憊の表情、顔色の悪さが見られ、筋骨格系以外の症状(休んでも取れない疲労、不眠、あちこちの痛み、頭痛、胃腸障害、排尿、排便障害、冷え、ほてりなど)を認めます。このことは、機能的病態(未病、病気が発症する前の状態)であり、このままでは、脳血管障害、心血管障害、悪性腫瘍、関節リウマチや膠原病などの質的疾患病気)が発症してしまいます

 

このような方々に、調子の悪さ(機能性病態、未病)の検査法である、血行動態検査、持続的血糖測定、酸化・抗酸化の測定、不眠や疲労度のテスト、時に東洋医学的診察を行い、その程度を計り、結果に応じて、漢方薬、適切なサプリメント、鍼灸治療、マッサージ、酸化療法(準備中)、栄養のアドバイス、生活のアドバイス、時に心理療法を行い、病気(器質的疾患)から死ぬ間際(致死的病態)への道ではなく、健康な方向へ転換するための支援をいたします。

 


4,相対的健康を生成する

機能的病態、器質的疾患、致死的病態の方の痛みや苦しみに寄り添い、その方のたくさんの身体的な資源(健康な部分の身体、不自由ではない身体)、心理的な資源(考えた方の修正、生きる欲求の活用)、社会的な資源(家族、友人、地域社会など)、実存的な資源(生きる意味、やりがい)に気づき、利用し、総合的に整った状態、相対的健康、生きている喜びを一緒に生み出していきます。

 

重症の機能的病態の疾患で、強い、全身の痛みが残り、慢性に続いている方、様々な器質的疾患(病気)を抱えている方、時に、死ぬ間際の状態(致死的病態)の方、ご高齢の方が受診されます。

 

相対的健康とは、どの状態であっても、残された身体機能(身体的資源)への気づき、自分自身を支え、変わることのできるこころ(心理的資源)への気づき、自分自身の周囲の、存在してくれる家族、友人、医療・福祉施設のスタッフ、学校関係者など、豊かな自然、音楽や美術などの芸術(社会的資源)への気づき、どのような状態でも、自由と責任における自己決定による生き方(実存的資源)への気づきにより、より全体的に整った状態「総合点で合格」「それでも生きて良かった」を獲得することを目指して行きます。

 

これらのことは、

私たちの治療的自我(接することで皆さんを健康できる人格)、クリニック全体の醸し出す雰囲気、クリニックに備えてある物、皆さんのお人柄、皆さんと私たちの交流の中で、自然発生的に生まれることを目標にしています。


バリント流開業医療

ロンドン大学のマイケル・バリントが提唱する開業医療は、専門医療のはざまで全人間的な痛みや苦しみを人知れず抱えている地域の人たちに、救いの手を差しのべる医療です。そして、開業医療こそ全人的医療の場と言い切ります。

 

 

マイケル・バリント(1896~1970)

開業医療は、小さな専門病院では決してなく、地域の方々の全人的な痛みや症状のすべてに相談にのり、専門医医療の手術治療および入院治療以外の保存的治療を専門分野の決まりきった治療法にこだわることなく、患者さんに役に立つと考えられるありとあらゆる治療法、ありとあらゆる救いの手を差し伸べる医療です。

マイケル・バリントは、開業医と患者さんの独特の関係を相互投資カンパニー(Mutual Investment Company)と名付けました。

 

開業医と患者さんは、同じ地域の生活者であり、道ばたでもお会いし、同じコンビニ、同じスーパー、同じ定食屋さん、同じ居酒屋で、良くお会いし、お互いの住んでいる家、近くの学校、保育園、働いている会社、工場などを知っています。

このことが、互いの親密度を高めると同時に、互いの情報を共有することは、全人的医療の際の、大切な情報となります。

相互投資カンパニーでは、患者さんである地域の皆さまは、医師や医療スタッフに、からだのこと(身体的状況)、心のこと(心理的状況)、とりまく環境のこと(社会的状況)、やりがい、生きがいのこと(実存的状況)の情報を教えてくれます。これは、全人的医療を行う上で、大変役に立つ、大切な情報です。このことが、患者さんである地域の皆さんが、医師や医療スタッフに与えてくれる資本です。

そして、それに伴う、医師や医療スタッフと患者さんである地域の皆さんとの交流そのものが、大切な資本です。

 

また、相互投資カンパニーでは、医師や医療スタッフが、患者さんである地域の皆さまに、全人的医療(身体・心理・社会・実存的治療)を行います。これが、医師や医療スタッフから患者さんである地域の皆さまに提供する資本です。

そして、それに伴う、患者さんである地域の皆さまと医師や医療スタッフの交流そのものが大切な資本です。

 

互いの、投資が持続的で、長期的になると、お互いにたくさんの資本が蓄積していきます。

そして、それが、次の治療のための大切な資源となり、さらに親密な関係になって行きます。

相互投資カンパニーで、長期間、持続的に、お互いが投資を続けていると、お互いが、患者さんの立場、医師や医療スタッフの立場を超えた、人としての親密な関係、互いに尊重する関係が生まれてきます。

医師と医療スタッフが地域の方々に対して、患者としてのみの見方から、1人の人として、信頼し、支持し、皆さんの立場になって考えられる、自然な思いやりを発揮する相手になります。

また、地域の方々も、医師や医療スタッフに対してのみの見方から、1人の人として信頼し、指示し、医師や医療スタッフの立場になり考えられる、自然な思いやりを発揮する相手になります。

 

 

マイケルバリントは、地域開業医と専門医の区別と責任をはっきりさせました。

患者に最終責任をとるのは、地域開業医であり、医療の形は全人的医療であると述べています。その代わり、専門医の先生方が行っている医学の科学的追究は放棄しなければなりません。

一方、総合病院や、専門病院、専門クリニックの専門医の先生方は、地域開業医の優れたアシスタントであると述べています。

専門医の先生方の使命は、病気の科学的追求(医家製の病気)であり、患者さんを、科学的思考で捉え、病気を見過ごさないように、病気が悪化しないように、最高の専門的治療ができるように、日々最先端の医療を取り入れ、研鑽を続けています。その代わり、患者さんを全人的に見ることは、過剰な負担となり、専門医療の科学的追求の支障を来すことになるかもしれません。

専門医の先生方に、専門家としての診療に専念できるように、決して、誤った認識で非難にさらされない配慮を、そして、できるだけ、専門医の先生と親密な関係を構築する努力をすることが大切と述べています。

全人的医療について

モデル(共同幻想、パラダイム、思い込み)とは、患者さんを見て、脳に映し出し、認識するパターンのことを言います。モデルが無ければ科学は育たないと言われています。

 

病を持った人として見る医療モデル(新しいパラダイム)である、全人的医療モデルは、永田勝太郎先生が、身体・心理・社会・健康モデルを提唱したWHO名誉教授でニューヨーク大学のステーシー・デイ教授、日本の心身医学の創始者であり元九州大学心療内科教授で身体・心理・社会・生命倫理という初期の全人的医療モデルや西洋医学と東洋医学との癒合を提唱した池見酉次郎先生、実存療法(ロゴセラピー)を確立し、世界のベストセラーの「夜と霧」の著者であるウィーン大学のビクトール・フランクル博士たち多くの偉大な先人に師事し、その他の多くの医療研究者の英知を1つにまとめ上げ、身体(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)・実存(生きがい)の医療モデルとして確立した医療モデルです。

永田勝太郎

永田勝太郎:WHO(世界保健機関)心身医学・精神薬理学 教授:リヒテンシュタイン国際学術大学院大学 ビクトール・フランクル講座 名誉教授:公益財団法人 国際全人医療研究所 代表理事:日本実存療法学会理事長、日本疼痛心身医学会理事長、国際全人的医療学会理事長


全人的医療(whole-person medicine)という言葉は、マイケル・バリントが1961年発行の著書の中で、今後、発展させなければならない医療として述べました。

1980年代、九州大学心療内科教授であった池見酉次郎先生は全人的医療はの医療モデル(パラダイム)を提唱しました。

 

 

 

池見酉次郎

池見酉次郎(19151999

 

心身医学の基本的医療モデルは身心(心身)一如でした。心身一如という表現と、身心一如という表現がありますが、池見先生は身心一如という言葉を好んで使っていました。しかし、後年、先生は心身医学を全人的医療に転換しなくてはならないと考え、身心一如(池見モデル)からWHO名誉教授でニューヨーク大学のステーシー・デイ教授によって提唱された身体・心理・社会的 健康モデルへ転換しました。それは精神科医であるジョージ・エンゲル先生によって医療モデルへと応用されました。しかし、池見先生は、それでは不十分と考え、身体・心理・社会・生命倫理 医療モデルを提唱しました。

 

 

ビクトール・フランクル(19051997

 

 

 

 

 

私は17年前に永田勝太郎先生が提唱する進化した全人的医療を知り。培った整形外科医療のパラダイムから全人的医療のパラダイムシフト(パラダイムの大転換)に挑戦し、15年前に、医師1年生に戻る覚悟で、永田勝太郎先生からの直接のご指導に臨み、現在に至っています。

当院は、職種にかかわらず全スタッフが来院する患者さんを常に、1人の人間(身体・心理・社会・実存的存在)として見つめ、全人的(身体・心理・社会・実存的問題)な視点から診断、評価を行い、それぞれの職種を通して、痛みや苦しみに対する全人的治療(身体的・心理的・社会的・実存的資源に対するアプローチ)をチームとして全員で行います。

 

永田勝太郎先生と(日本疼痛心身医学会にて)

 

 

 


全人的整形外科医療における問題(problem)の評価

 

身体的問題

全身系

器質的病態:体の痛みの原因となる、整形外科以外の疾患

関節リウマチ、膠原病、甲状腺疾患、悪性疾患など

 

機能性病態(全体の病態の中心、ホメオスタシスの乱れ)

体の痛みの要因となる機能性身体症候群、血行動態不良症候群、

低血圧、低血糖、血糖値スパイク、酸化、副腎機能低下、

低栄養(低たんぱく、低フェリチン血症、ビタミン不足、微量元素不足)

リーキーガット症候群 など

 

運動器系

器質的病態:骨折、脱臼、捻挫、打撲などの外傷、スポーツ障害、脊椎疾患、

変形性膝関節症などの変性疾患などの整形外科疾患

 

機能的病態:リハビリテーション的評価:

心身機能・構造障害(impairment)および活動制限(activity limitation)の評価

運動バランスの乱れ、筋力低下、日常生活動作の困難さ等


 

心理的問題

感情、気分、認知(考え方の癖)、行動

とらわれ(精神交互作用、思想の矛盾)

 

社会的問題

家庭、職場、友人、地域等の状況

 

実存的問題

やりがい、生きる意味、世界観、人生観

 

 

 


全人的整形外科医療における検査法

 

全人的医療検査法

身体、心理、社会、実存的問題の検査(CHCW・SOC検査:特殊な検査)

 

整形外科的検査法

各部位レントゲン検査、超音波検査、DEXA(骨塩定量)

MRI検査(他院に依頼)、CT検査(他院に依頼)

各種血液検査

各疾患・身体検査

神経学的検査

 

リハビリテーション的検査法

FIM等、各種身体機能評価検査

 

東洋医学的診察法

 

心身医学的検査法

ヘッドアップティルト測定(体位変換による血行動態検査)

持続的一日血糖値測定

酸化バランス防御系の測定(準備中)

胸部レントゲン検査

ストレスホルモンの検査

ACTH、DHEA-S、コルチゾール、カテコールアミン3分画

各種心理テスト

 

 

 


全人的整形外科医療における治療法

 

当院は、治療の基盤となる2つの柱と、実際の2つの治療法があります。

 

 

治療の基盤となる2つの柱

 

1つは、各スタッフの治療的自我(医師という薬)を育てること

 

2つ目は、真のチーム医療を発揮すること。

 

です。

 

 

1、治療的自我(therapeutic self;Watkins提唱、患者さんを健康にできる人格)

 

治療的自我を向上させていくには、次の条件を満たす必要があります。

 

① 患者さんを、いつ、いかなる場合での、病や調子が悪くなった人としての視点を持つ覚悟をすること。

 

② 人と視点をもつために、いままでの内部モデルを全人的整形外科医療モデルにunlearning(学びほぐし)、専門性含めて、relearning(再学習)すること。

 

③ 患者さんの治療に対して良いと思われる、治療法は、こだわりなく、何でも取り入れる柔軟性をもち、その技術や知識を身に着け続けること。

 

 

当院では、全人的整形外科医療に基づく治療的自我を育てるために、

定期的にバリントグループワークを行っています。

 

治療的自我が成熟した、医療スタッフは、常に、自分自身を、高める態度があり、自分自身のキャリアや資格にこだわることなく、

患者さんに、救いの手を差し伸べるために、知識、技術、態度を研鑽し続けます。

 

 

2、真のチーム医療

 

真のチーム医療を実現するには、次の条件を満たす必要があります。

 

① 1人の患者さんを、1つの医療モデル(全人的医療モデル)で、

 

② 1人の患者さんを、チーム(1つの組織)で、1つの組織パラダイムで、

 

③ 同じ価値を共有し、

 

④ 同じ目標を達成するために、

 

⑤ 自分の専門性に限定することなく、常に、自分自身をunlearning(学びほぐし)、relearning(再学習)を繰り返していく。

 

 

当院では、真のチーム医療の実現のために、

 

それぞれの組織と自分に対する認識と態度を客観的に評価する、第3者の専門家(組織コンサルト)による、全スタッフへの指導を導入し、講習、トレーニングを行っています。

 

1つの組織パラダイムで統一された組織には、職種間の意地の張り合いは、社会マナーの欠如した態度が存在せず、大切な患者さんに発揮する各自のエネルギーをスタッフ間で消耗させることなく、各スタッフの治療的自我の癒合をスムーズに行い、チームの力を最大限発揮します。

 

そして、社会的成熟した方同士の、組織は、一部のグループだけではなく、全体が、互いを尊敬、尊重しあう、大人同士の良い関係となり、居心地の良い組織になります。

 

実際の2つの治療法

 

1つは、疾患を直接に、治したり、取り除いたり、身体エネルギーを使用して機能アップする、瀉法

 

2つめは、身体に不足しているものを補い、身体機能を改善し、身体活動のエネルギーを与える、補法

 

 

瀉法

整形外科保存的治療(薬物治療、処置等)、ペインクリニック的治療、漢方治療(瀉薬)、

鍼灸マッサージ治療(瀉法)、フットケア、運動器リハビリテーション、筋力・機能回復トレーニング

 

補法

治療的自我、医師という薬

栄養療法、サプリメント、漢方治療(補薬)、鍼灸マッサージ(補法)、心理療法、

全身リンパマッサージ(美容系)、多彩な治療法(統合的医療的)のそれぞれの利点を生かします。

 

 

治療的自我の未熟と、1つの組織パラダイムの統一のなさが引き起こすこと

 

いろいろな職種、いろいろな知識、技術を持った方々が、ただ集まって、それぞれの内部モデル、

それぞれの尺度から1人の患者さんを見ることは、いわばごった煮医療といえます。

 

それぞれの内部モデル(パラダイム、思い込み)によって、それぞれが我こそはと主張するために、

患者さんそっちのけ自己主張、自己保身のチームになり、権威やキャリアを振りかざす人、

人数のたくさんいる部署、声の大きな人の支配の、それぞれが融合しない支配か対立の集団

なりがちです。

 

また、多くの医療スタッフが関与していることは、それ自体が、組織です。

自分の所属する組織に対する、内部モデル(尺度、錯覚)による、組織人としての、

立ち位置の錯覚(勘違い)自分のみの経験と偏った尺度による錯覚(勘違い

社会人マナーの欠如はチーム医療の実現を遠くします。

 


全人的整形外科医療における資源(resource)の評価

 

身体的資源

全身系

器質的病態:専門的治療を施す、整形外科以外の他院・専門医の存在

 

機能性病態:低栄養、血行動態不良症候群、低血圧、低血糖、酸化、副腎機能低下、

に対する対処

機能を回復させる、鍼灸按摩マッサージ師、

エステティシャン、栄養指導、漢方治療を行う医師の存在

酸化療法(血液クレンジング、血液フォトセラピー)(準備中)

 

運動器系

器質的病態:整形外科的保存的治療を施す医師

手術療法、入院治療ができる他院・専門病院の存在

 

機能的病態:機能を回復させることのできる理学療法士の存在

運動器リハビリテーション

残された身体的機能

 

心理的資源

感情、気分、認知(考え方の癖)、行動、欲求(エネルギーの使い方)について内省できる

自己違和感、葛藤の存在、生の欲求、治療意欲

 

社会的資源

 

本人を支えてくれる家庭、職場、友人、地域等

治療的自我を発揮し、社会的資源として患者さんを支えようとする

当院スタッフの存在

 

実存的資源

 

やりがい、生きる意味、生きる信念を生かす

実存的変容を促す当院スタッフの存在

 

 

全スタッフがそれぞれの職種を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

医師の場合はマイケル・バリントの云う医師という薬を発揮します。

 

 

 


社会的資源としての医師・医療スタッフ

医師

全人的整形外科医療を熟知し、リーダーシップを発揮し、チーム医療を実現します。

 

全人的医療の診断・治療を通して、自身が持つ医師という薬を発揮します。

 

整形外科的治療:整形外科全分野の保存的治療を行います

ペインクリニック的治療:神経ブロック、エコー下の各種注射を行います

漢方治療:張明澄流・古典中医学による痛みの漢方治療を保険診療の範囲で行っています

心身医学的治療:機能性身体症状を改善する、薬剤の投与、生活スタイルの改善指導、

適切なサプリメント投与、食事療法、各種心理療法(実存療法、森田療法など)

 

鍼灸師:NLP認定者1名

鍼灸、マッサージ治療を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

看護師

整形外科看護業務を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

理学療法士:NLP認定者1名

運動器リハビリテーションを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

臨床放射線技師

レントゲン検査を通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

診療支援・おもてなしスタッフ:NLP認定者1名

受付、診療アシスト、リハビリアシスト、筋力、機能回復トレーニング指導、

通所リハビリテーションを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します

 

エスティシャン:エンビロン上級ディプロマ資格者

女性に対して、リンパマッサージ(術後、疾患を除く)とエンビロンスキンケアを通して、

自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

フスフレーガー:ドイツ・フスフレーガー認定者

フットケアを通して、自身が持つ治療的自我を発揮します。

 

読書療法(ブリーフセラピー)

院内には、院長セレクションの身体、心理、社会、実存的問題を乗り越えるための書籍

が多数用意されています。

診察時に、適切な書籍をお勧めし、貸出すこともあります。

 

 

 


健康と健康生成論(saltogenesis)

 

人は絶対的健康から死へ向かう存在です。そして、

 

1、絶対的健康

⇒2、機能性病態

   (病気まで至らない身体の不調 未病)

⇒3、器質的病態(病気)

⇒4、致死的病態(死のまぎわの状態)

⇒5、

 

この順番で死に至ります。

 

健康とは、WHO(世界保健機構)の定義が以下のように端的に表しています。

〝Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual, social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、単に病気がないとか、調子が悪いとかではなく、身体的にも、心理的にも、霊的(実存的)にも、そして社会的にも、人生の連続性の中で、どのステージでも総合的に整った状態である〟

 

アーロン・アントノフスキー(1923-1994)

 

イスラエルの健康社会学者アーロン・アントノフスキーはアウシュビッツの強制収容所に捉えられ生き延びたユダヤ人の方々の研究から、どんな困難な境遇であっても、乗り切ることのできた人たちは、ストレス対処能力であるSOC (sense of coherence : 首尾一貫感)が高いと報告しました。また、人生のどのステージ(機能的病態、器質的疾患、致死的病態)においても、さまざまなストレスに対して、SOC (sense of coherence : 首尾一貫感)を発揮し、総合的に整った状態であれば、健康(相対的健康)は獲得できるという健康生成論(saltogenesis:サルトジェネシス)を提唱しました。

 

SOC (sense of coherence : 首尾一貫感)には以下の3つの要素があると言います。

 

1,Comprehensibility (把握可能感、わかる)

2,Manageability (対処可能感、できる)

3,Meaningfulness (有意味感、意味がある)

 

 

SOC (sense of coherence : 首尾一貫感)の高い人は、強いストレスな状況に出会ったときでも、出来事や自分の変化を、客観的に、冷静に起きたことを理解する力があり(わかる)、そのことに対して、自分の持つさまざまな対処資源(身体的、心理的、社会的)を利用して乗り越えていく力があり(できる)、そして、乗り越えるための、人生の意味を持って生きている(意味がある)と述べています。

 

 

 

医療モデルについて

人は、見たこと、聞いたこと、触ったことなどを感知して、脳の中の、自分自身にある、内部モデル(地図、パラダイム、思い込み)で解釈します。ですから、同じものを見ても、聞いても、体験しても、どのように認識するかは、その人の内部モデル次第です。脳の中にあるバーチャルな世界、それが内部モデルです。

 

脳の中に、内部モデルを作るという能力は、現代を生きている私たちにとって、重要な能力です。

 

内部モデルを作るということは、脳をいう個人レベルにおける情報処理の問題のみならず、集団における情報の共有、ネットワーク化という問題に関わることであり、私たちが、なぜ、共同体をつくり得るのかといった問題にも深く関わっています。

 

内部モデルは共同幻想(共通の思い込み)であり、共通の世界観です。人間は、そうした共通の内部モデルを本質的に求める生き物です。

 

人間は、内部モデルやルールを共有することで、厳しい環境を生き抜こうとします。共同幻想が生まれる理由です。

 

共同幻想の最たるものは、宗教です。宗教を信じることにより、人が生きるための合理的な行動を選び、生き残ってきました。日本人は、日本人らしさがあります。それは、共有している内部モデルが日本人らしさを醸し出し、日本人は日本人らしさによって生き残ってきたと云えます。

 

現代医療は、自然科学を内部モデル(共同幻想、パラダイム、思い込み)にすることにより、発展してきました。

 

自然科学とは、自然を科学のルールに基づいて、自分の脳に映し出すことです。

科学のルールには2つあり、1つは、考える対象のみのことを考えて、考えようとする自分のことは考えなくても良いという、二元論の立場をとること。2つ目は、何かを考えるときに、その対象を、より細かく分けて、領域をせばめて考えようとする要素還元主義です。

 

医療者、特に医師は、自然科学を内部モデルにした現代医学においては、自分自身を問題にすることはなく、病を持った人を、臓器や物質のレベルまで、細かく分けて、それぞれが専門性を持ち、その分野の病(器質的病態)を深く追求し、深く理解し、その知恵を、病の治癒という目的に還元してきました。科学のルールに基づいて、病を解き明かし、病を治癒させるプロフェッショナルが科学者である医師です。

 

しかし、近年、そうした科学のルールでは、その現象の本質が理解できないことが明らかになってきました。それは、従来の、基本的な科学の考え方に限界が見えていることを意味します。

 

その1つ目は、考える対象は、考えている自分の影響を受けるということ。2つ目は、要素還元主義により、細かく分けて考えたため、対象を拡げて、人間の問題を解くためには有効ではないことです。

 

人間を理解するということは、人間の構成要素間の関係性に起因する問題を理解することです。しかし、要素還元主義的な思考では、この問題は解けません。それは、人間がシステムで、構成要素間の複雑な関係性の結果として、その動的平衡状態が決まるからです。

 

そこで、複雑系という科学の見かたがでてきました。複雑系とは、要素を明らかにしても、その全体の挙動は分からないということです。

 

人間全体を見る医療モデルである、全人的医療モデル(身体・心理・社会・実存的医療モデル)は、病を持った人を、複雑系であり、医療者の影響により結果が左右し、要素還元主義的な思考では理解困難であるという前提で、確立されたシステム論的医療モデル(共同幻想、パラダイム、思い込み)です。

 

アーロン・アントノフスキーが提唱した、健康生成論においては、科学のルールに基づいた自然科学的追求をpathogenesis(病因追求論)全人的医療モデルによる追求をsaltogenesis(健康追求論)と言えます。

 

全人的医療を目指す医療者は、科学のルールに基づいた自然科学的追求(pathogenesis)と、人間を複雑系として捉えたシステム論的医療モデルである全人的医療モデルによる追求(saltogenesis)の2つの内部モデルを変幻自在に駆使する、自身の思考と感情のメタ認知と、思考の柔軟さが必要となります。

 

昨今、整形外科、ペインクリニックの分野においても、心身医学の医療モデル(全人的医療モデルの前身)である、身体・心理・社会的医療モデルの導入が試みられていますが、身体(整形外科領域)と心理(心因性、脳科学)の心身2元論の域をでておらず、心身医療を導入したとは言いがたく、内部モデルをunlearning(学びほぐし)し、再度、新たな医療モデルをrelearning(再学習)するプロセスが抜けています。

 

慢性疼痛などの機能性の病態に対する見方は、心因性、中枢神経の機能不全となり、心理還元主義脳還元主義となります。そして、医療モデルのパラダイムシフトのない治療は、必然、認知の歪みを変容させる、認知行動療法や、抗うつ薬、抗てんかん薬、麻薬系の鎮痛剤の投与となります。

 

整形外科分野、ペインクリニック分野の医療者は、自身の内部モデルの吟味が必要であると考えます。

 

 

松井孝典著 「我関わる、ゆえに我あり―地球システム論と文明」を参照

 

 

 

 

 


ホメオスタシス(恒常性)

ホメオスタシスとは、人間などの動物が、身体の外や、自分の中の有害な状況から、自分自身を、守ろうとする仕組みのことです。ホメオスタシスは複雑の絡み合った仕組みで、あえて分けると、神経系(脳、自律神経系)、内分泌系(さまざまなホルモン)、免疫系酸化バランス防御系分子遺伝系筋骨格系が挙げられます。

永田勝太郎先生は、ホメオスタシスの乱れが、顕在化する指標として、血行動態糖化酸化の3つを特に重要視しています。

 

ひどい疲れ・あちこちの痛み・つらい不眠のメカニズム(ホメオスタシスの乱れ)

糖化・酸化・血行動態の乱れは、器質的病態(様々な病気)を引き起こす前の状態です。病気になる前にこの時点で対処することを勧めます。また、あるいは病気になった方は、これ以上、病気を重ねない様に、相対的健康を創生するために、ホメオスタシスの回復に努めることをお勧めします。

人は生まれつき持っている遺伝的体質に、生まれた後から身についた、固有の〝生きざま〟を持ちます。この生きざまにより、人はホメオスタシスが維持でき、健康になることができる反面、ホメオスタシスの乱れが生じると、心身の不調や病気が発症します。

ホメオスタシスの乱れを生じてしまう要因で、まず重要なのは食生活習慣です。人は、食べたものでしか身体を作ることはできません。

食事内容で特にチェックが必要なのは、1,糖質、タンパク質、脂質の摂取バランス 2,腸内環境に対する効果 3,体内の神経伝達物質、エネルギー物質(ATP)、各種ホルモン、臓器、器官の形成に必要な物質の供給の3点です。

健康を損ねてしまう、

ホメオスタシスの乱れを生じるしまう要因で、次に重要なのは、その人固有の、身体的、心理的、社会的、実存的問題から生じるストレスです。

ストレスの持続は、体内に非常な緊張状態を生み出し、視床下部-脳下垂体-副腎に異常な負担をかけ、自律神経の緊張が生じることからの影響が全身の及び、体内の必要物質を多量に消費し、腸内環境の悪化を引き起こします。

そして、結果として、糖化酸化副腎疲労血行動態の乱れ(心・血管系、自律神経系)が生じ、器質的疾患(病気)が発症します。

糖化について

ホメオスタシスの乱れの1つに糖化があります。また、糖化に伴い、深刻な身体症状を呈し、健康を害する状態に、低血糖酸化ストレス炎症があります。

糖質過剰摂取の食生活習慣により、糖化に至ります。糖化とは、身体の中で、糖が多くなると、タンパク質や脂質とくっつき、変性し、タンパク質や脂質が関与する働きを障害し、有害な作用を引き起こすことです。たとえて云えば、タンパク質や脂質が〝焦げた〟状態です。焦げた最終産物をAGEs(エイジーイーズ)と云います。

人は、タンパク質と脂質でできています。糖化によって、人にとって重要な、細胞、遺伝子、あらゆる臓器を痛めつけ、器質的疾患(癌、動脈硬化、認知症、パーキンソン病、うつ病、心臓病など)や機能的疾患(線維筋痛症、筋痛性脳症/慢性疲労症候群ME/CFSなど)を引き起こします。

整形外科には、腰痛、肩こり、五十肩に方々が多く受診します。その方々の状態を良く聴き取ると、とれない疲労、つらい不眠、あちこちの痛み、不安定な精神状態を訴える方が多数存在し、多くに、グルコース(血糖値)スパイク夜間低血糖を認めます。

生体が危機を最初に察知し、現れる症状は〝痛み〟〝発熱〟〝疲労感〟です。整形外科領域の肩こり、腰痛、五十肩などは生体の危機の最初のサインと捉えることができます。

インスリンとIGF(インスリン様成長因子)の役割

インスリン様成長因子(IGF)は、文字通り、インスリンと似た働きと成長ホルモンと似た働きのあるホルモンで、肝臓で作られるタンパク質です。成長や発達や生存には欠かせないものですが、その延長上の、老化や癌にも関与します。成人前にIGFがよく働くと、身体は大きく成長しますが、成人以降はIGFが働き過ぎると、老化や過剰な増殖や成長の原因になります。

糖質過剰摂取によって起こる悪循環

血糖値スパイクが起こったとき、同じ身体でも、ある臓器はインスリン抵抗性・IGF-1抵抗性を起こし、ある臓器はインスリンの作用の増加、IGF-1の作用の増加を起こします。

臓器によって、反応に違いが有ります。整形外科分野では、IGF-1の過剰によって、作用の増加を起こす臓器や器官は、脊椎の黄色靱帯や後縦靱帯が考えられ、異常増殖をします。また、IGF-1の抵抗性により、IGF-1の作用低下を起こす臓器や器官は筋肉が考えられます。

しかし、最も心に留めておかなくてはならないことは、整形外科疾患は単独で発症するものではなく、糖質過剰摂取による、変性、老化、死を早める、全身の一部の症状であると云うことです

整形外科疾患と糖化の関係

整形外科疾患に糖化は深く関わっています。それは、骨、軟骨、筋肉、腱、椎間板など、整形外科疾患で扱う組織、臓器のほとんどはコラーゲンが主な構成成分だからです。この、コラーゲンは、高血糖になると糖化してAGEsが蓄積し、堅く、もろくなり、炎症を起こしやすくなります。だから、痛みや損傷が起きやすくなり、機能障害におちいり、骨や筋肉や腱、椎間板などの病気を引き起こしてしまいます。また、インスリンやIGFの作用が強く現れすぎてしまう、黄色靱帯や後縦靱帯などの臓器や器官と、筋肉は骨などの、インスリン抵抗性、IGF抵抗性による、インスリンとIGFの作用低下による機能が衰える臓器や器官があります。

 

変形性関節症と糖化

関節軟骨のコラーゲン(半分になるのに100年)は皮膚のコラーゲン(半分になるのに15年)と比べても、とても長生きで、その分、高血糖が続くと、同じコラーゲンにAGEsが多く蓄積してしまいます。実際に、多くにAGEsが蓄積していることが証明されています。

肥満している方に変形性関節症が多いのは、単なる体重による負担だけではなく、糖質過剰による、AGEsの増加の影響があると考えられます。

 

五十肩、アキレス付着部症、足底腱膜炎、手根管症候群と糖化

糖尿病の人の肩の障害の有病率は27.5%であり、一般的な人は0.5%で、糖尿病でない人と糖尿病の人では、五十肩のリスクは5倍と云われています。やはり、AGEsの蓄積が原因ではないかと考えられます。また、糖尿病では、アキレス腱、足底腱膜が厚くなり、アキレス腱炎や足底腱膜炎が発症しやすく、手根管症候群は糖尿病の11~25%に人に認められ、ばね指も多く認めます。やはり、AGEsの蓄積によるものだと考えられます。

 

腰部脊柱管狭窄症、頸椎後縦靱帯骨化症と糖化

腰部脊柱管狭窄症は、脊髄や神経の束が通る、脊柱管の中に薄く張り付いている、黄色靱帯が分厚くなり、骨に変化し、中の神経の束(馬尾神経)や脊髄から出て行き脚に向かう神経の根っこ(神経根)と圧迫し、脚のしびれや歩行障害を引き起こします。

この、黄色靱帯が分厚くなってしまうのには、IGF-1が関わっています。糖質過剰食でインスリンやIGF-1の過剰分泌が起きると、黄色靱帯が長い年月をかけ、分厚くなり、骨に変化し、脊柱管が狭くなり、脊柱管の中にある、神経の束(馬尾神経)や神経の根っこ(神経根)が圧迫されて、症状に現れてきます。

 

骨粗鬆症と糖化

骨はカルシウムとコラーゲンからできています。糖質の摂りすぎによる高血糖は、AGEsを産み、骨のコラーゲンに蓄積し、骨が衰えます。また、インスリンやIGF-1(インスリン様成長因子1)は骨を作る細胞(骨芽細胞)に分かれていく過程や、コラーゲンを作るのに重要な役割がありますが、インスリン抵抗性、IGF-1抵抗性があると、骨を作る力(骨形成)が衰えます。

 

サルコペニアと糖化

サルコペニアとは加齢に伴って、筋肉の量が減って、筋力の低下が起き、そして、身体の働きが衰え、転倒や骨折を引き起こし、寝たきりになってしまう可能性が大きい状態です。

サルコペニアはいろいろな要因がからみあうと云われていますが、

マイオスタチンが重要な役割があると考えられています。余計に筋肉が作られないようにするマイオスタチンというホルモンは、高血糖(血糖値スパイク)によりインスリンが多く分泌されると増加し、筋肉の増加を押さえてしまいます。また、肥満や糖尿病では、筋肉のタイプが、遅筋(赤い筋肉、持久力)からマイオスタチンを多く分泌する速筋(白い筋肉、瞬間的な力)に変わります。マイオスタチンが増えること、インスリン抵抗性(インスリンが働き過ぎて、インスリンに反応しずらい体質に)、IGF-1抵抗性による筋肉の合成の低下と、筋肉の分解が進んでしまうので、筋肉は減ってしまいます。さらに、高血糖(血糖値スパイク)やインスリンの過剰で、慢性炎症酸化ストレス増加もサルコペニアを引き起こします。高齢者はタンパク質の摂取が不足しがちなため、筋力の低下に拍車をかけます。

 

スポーツと糖化

筋力トレーニングの後に、タンパク質のみを摂ると、筋肉の量が増えますが、タンパク質と糖を一緒に摂ると、筋肉の量は、タンパク質のみを摂った場合より、筋肉の量は増えません。

スポーツ後に糖質たっぷりのスポーツドリンクやなどの糖質を過剰に摂ると、高血糖(血糖値スパイク)が起き、AGEsが増加してしまいます。AGEsは筋肉や腱や靱帯に蓄積し、パフォーマンスの低下やスポーツ障害の原因になる可能性があります。

 

清水泰行著 「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因 を参照

酸化について

酸化とフリーラジカルと活性酸素の働き

人間は酸化反応によって、体内でエネルギーを生み出しています。酸化の働きなしでは生きていけません。酸素が細胞内でエネルギーを作り出すときには同時に酸素より酸化する力が強い物質であるフリーラジカルや活性酸素が発生します。酸化、フリーラジカル、活性酸素は生命活動にとって切っても切り離せない関係にあります。フリーラジカルや活性酸素は、体内に侵入した細菌などを殺し、酵素の反応を促進し、細胞内の情報の伝達のメッセンジャーとなります。また、フリーラジカルや活性酸素の刺激が反って、さらなる抗酸化力を上げる刺激になります。つまり、フリーラジカルや活性酸素は、健康を維持するのに必要不可欠なものです。

ところが、必要異常のフリーラジカルや活性酸素を生じてしまうと、体内の細胞内のDNA、ミトコンドリア、細胞膜を傷つけ、老化や癌やさまざまな病気の原因となります。

 

フリーラジカルと活性酸素について

フリーラジカルとは酸素O2より酸化力が強い物質で、奇数個の電子を持つ原子や分子のことであり、ペアになっていない電子(不対電子)がペアを求めて他の物質と反応し、相手から電子を奪って、自分のものにします(酸化)。すなわち、触れたものの電子を奪い酸化を引き起こします。酸素O2も不対電子をもっているのでフリーラジカルの一種と言えます。酸素O2はほとんどの物質の酸化を引き起こし、そのとき発熱するので、多くの生物のエネルギー源をして利用されてきました。フリーラジカルには、スーパーオキシドイオンO2-・ 、ヒドロキシラジカル ・OHがあります。

活性酸素も酸素O2より酸化力が強い物質で、不対電子は持ちません。活性酸素には、過酸化水素H2O2、一重項酸素1O2があります。

 

酸化ストレスについて

酸化ストレスとは、酸化を促す要因のことです。酸化ストレスは現代の人を取り巻く環境や社会と個人の生きざま(身体・心理・社会・実存的状況)に深い関係があり、いたるところに酸化ストレスが存在します。

身体的・社会的酸化ストレスとしては、放射線、紫外線、タバコ、パソコンや携帯電話からでる電磁波、アルコール、大気汚染、食品添加物、運動不足、過労などがあります。また、糖質過剰摂取による糖化、血糖値スパイク、低血糖、炎症も酸化ストレスとなります。

心理的・実存的酸化ストレスは、明確な生きる指針を失ってしまった現代を生きる方々に、大きくのしかかっています。

過剰なフリーラジカルと活性酸素の影響について

過剰なフリーラジカルと活性酸素は、細胞のDNA、ミトコンドリア、細胞膜にダメージを与え、機能障害から細胞の死滅を引き起こします。そして、老化、ガン、アルツハイマー病、パーキンソン病、凍糖尿病、関節リウマチなどの器質的疾患を発症します。

酸化ストレス防御系とスカベンジャー(消去因子)について

人は生まれながらに、フリーラジカルや活性酸素に対する、防御システムを備えています。これを、酸化ストレス防御系云います。フリーラジカルや活性酸素を打ち消す物質をスカベンジャー(消去因子)と云います。

スカベンジャーには、すでに体内で備えている抗酸化酵素と、体外から補給するものの2種類があります。体内で備えているスカベンジャーである抗酸化酵素には、スーパーオキシドディムスターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、グルタチオンレダクダーゼ(GR)などがあります。

体外から補給するスカベンジャーには、ビタミンC,B2,E、β-カロチン(悪影響ありの報告)、α-カロチン、グルタチオン、リノール酸、システインなどがあります。

 

フリーラジカル・活性酸素に対するスカベンジャー(消去因子)

スーパーオキシドイオンO2- ← スーパーオキシドディムスターゼ(SOD),

ビタミンC,  ビリルビン

ヒドロキシラジカル ・OH  ← α-カロチン, β-カロチン, ビタミンE,  尿酸,

グルタチオン,  リノール酸,  システイン

過酸化水素  H2O2 ← グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx),

ペルオキシダーゼ,   カタラーゼ,   ビタミンC

一重項酸素  1O2  ← β-カロチン,   ビタミンC, E, B2,    尿酸

 

酸化と糖化の関係について

過剰なフリーラジカルや活性酸素に対する体内のスカベンジャーである抗酸化酵素はタンパク質が主成分であり、糖化が起きると、タンパク質がAGEs化してその活性を失います。また、糖化、血糖値スパイク、低血糖そのものが酸化ストレスとなるため、酸化と糖化は密接の絡み合い、それぞれの悪化を促進します。

酸化療法について

酸化療法とは少量の酸化ストレスを体内に与え、ホルミシス効果(害になるものの少量与えるとプラスに働く)を利用して、身体の抗酸化力を引き出し、身体本来の抗酸化力を強化する治療法です。欧米では保険診療が認められてる国もあり、多くの医師たちが利用しています。血液クレンジング療法(大量自家血オゾン療法)血液フォトセラピー過酸化水素点滴高濃度ビタミンC点滴が代表的な治療法です。治療により、抗酸化力の向上、体内の酸素化、末梢血流の増加、免疫機能の向上・調節作用、細胞の活性化の作用を認め、その結果として、ウィルス感染(C型肝炎、パピローマウィルス、エイズ)、自己免疫疾患(アトピー性皮膚炎、関節リウマチ)、メタボリック症候群などのほか、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全、筋痛性脳脊髄炎(筋痛性脳症)/慢性疲労症候群、網膜変性疾患、神経変性疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ガン、線維筋痛症、うつ病などの疾患に対して一定の改善が見込まれると報告しています、(当院ではまだ実施していません。)

 

渡井建男著 ドイツで1万人以上の医師が選んだ「血液クレンジング療法」身体の痛みから、慢性疲労、アンチエイジング、アトピー、ガンなどの難病まで、引用

血行動態について

血行動態とは血圧心臓の力末梢の力のバランスを云います。

血圧は心臓と末梢の力で決まります

心臓の力のことを、心拍出量と云います。また、心拍出量は、心臓が1回縮んだ時に押し出す血液の量(1回拍出量)と、心臓が1分間に縮む回数(心拍数)で決まります。

末梢の力は、末梢に溜まった血液を押し出す力(総末梢血管抵抗)のことを云います。

もし、遺伝的要因を含めた、1人1人固有の生きざまによるホメオスタシスの乱れが生じることにより、血行動態不良が起こり、ドイツの自律神経学者の云う血行動態不良症候群・低反応型に至ります。

血行動態不良症候群・低反応型には、病的低血圧を含んだ低拍出症候群静脈うっ血体位性頻拍症(POTS)があります。

副腎疲労について



ストレス理論(汎適応症候群)

ハンガリー系カナダ人のハンス・セリエが唱えた学説で、古典的な学説ですが、現代でも、ストレスによる身体の反応の全体像と捉えるのに優れた理論です。

ハンス・セリエ

ハンス・セリエ(1907-1982)

 

ハンス・セリエはストレスを「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」と定義しました。また、ストレッサーを「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」と定義しました。ストレッサーには生物的ストレッサー、心理的ストレッサー、環境的ストレッサーがあり、ストレッサーに対して、ホメオスタシスを維持しようとする脳の視床下部や副腎皮質などのホルモン分泌や自律神経系の神経伝達活動により起こる反応汎適応症候群(GAS : General Adaptation Syndromeと名付け、以下の3つの時期に分けました。

1,警告反応期:ストレスに耐えるための内部環境を急速に準備する緊急反応をする時期

  • ショック相:ストレッサーのショックを受けている時期であり、自律神経のバランスが崩れて、筋弛緩・血圧低下・体温低下・血液濃度の上昇・副腎皮質の縮小などの現象が見られ外部環境への適応ができていない状態と言える。このショック相は、数分〜1日程度持続する
  • 反ショック相:ストレス適応反応が本格的に発動される時期で、視床下部、下垂体、副腎皮質から分泌されるホルモンの働きにより、苦痛・不安・緊張の緩和、神経伝達活動の活性化、血圧・体温の上昇、筋緊張促進、血糖値の上昇・副腎皮質の肥大・胸腺リンパ節の萎縮といった現象が見られる。

 

2,抵抗期

 生体の自己防御機制としてのストレッサーへの適応反応が完成した時期で持続的なストレッサーとストレス耐性が拮抗している安定した時期である。

しかし、この状態を維持するためにはエネルギーが必要であり、エネルギーを消費しすぎて枯渇すると次の疲憊期に突入する。しかし、疲憊期に入る前にストレッサーが弱まるか消えれば、生体は元へ戻り健康を取り戻す。

 

3,疲弊期

 長期間にわたって継続するストレッサーに生体が対抗できなくなり、段階的にストレッサーに対する抵抗力(ストレス耐性)が衰えてくる。疲憊期の初期には、心拍・血圧・血糖値・体温が低下する。さらに疲弊状態が長期にわたって継続し、ストレッサーが弱まることがなければ、生体はさらに衰弱してくる

 

 

慢性疼痛、慢性疲労の方には疲弊期の方々が多いようです。

 

 

 

 


機能的病態(未病)

 

人は絶対的健康から死へ向かう存在です。そして、

 

1、絶対的健康

⇒2、機能性病態

(病気まで至らない身体の不調 未病)

⇒3、器質的病態(病気)

⇒4、致死的病態(死のまぎわの状態)

⇒5、

 

この順番で死に至ります。

 

2の機能性病態のことを未病を言います。

 

整形外科の症状での、未病と言える症状は、器質的原因の影響の小さい、肩こり、腰痛、一時的な神経痛、五十肩などです。

 

この症状の方々は、一時的な筋筋膜、関節包、神経、筋骨格系のバランスの異常が認められ、一時的には、各種注射(関節内注射、トリガーポイント注射、筋膜のハイドロリリース、腱鞘内注射、ブロック注射)、各種鎮痛剤各種徒手療法(世界中で行われている理学療法士のさまざまな手技)で改善します。

 

これらの症状を繰り返したり、症状が多くあったり、長く続いたりすることは、命が削られる状態であり、器質的疾患(高血圧、糖尿病、精神疾患、がん、心血管傷害、脳障害、免疫系の疾患など)の前触れであり、健康の危機と捉えます。

 

この時期に、単に、痛みや身体の機能を一時的に改善するだけでなく、命を救う医療、未病を治す医療を施します。

 

未病を治すには、自分自身の身体を壊していく、生きざまの関わりを吟味することが大切です。

 

生きざまには、自分自身の生活スタイル、取り巻く社会への適応の仕方、考え方のくせ、自身を支える世界観、人生観などが関わっています。

 

そして、全身系の機能的身体症状に対して、直接に身体療法である、栄養療法、適切なサプリメント投与、補法的な治療的自我を持った理学療法士による徒手療法、鍼灸マッサージ治療、アロマセラピー、リンパマッサージ、漢方薬投与、マインドフルネス、禅、温泉などを勧めます・

 

また、スタッフ全員の、患者さんを健康に導ける、会っただけで、良い感じを受ける、治療的自我が最も大切になります。


身体因性偽神経症


線維筋痛症(FMS)


筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)